鈴木敏夫氏がジブリの仕事について語る際に、江戸屋敷を例に出していた。
ー 今でこそ日本人も設計図を作ってから建物を建てますが、日本の江戸屋敷には設計図がないんです。
江戸屋敷では最初に床柱を何にするかを決めます。それによってその家の風格が決定付けられるんです。
安いものを使うと、ほかも全部安っぽくなって しまう。床柱の次は隣の引き戸を作ってとやっていって、そういうことが終わってから初めて「部屋の広さどうしようかなあ」となる。つまり、細かいところか ら入っていって、少しずつ作っていくんです。そして、1部屋できたら、「隣の部屋どうしよう」となる。
ここで大事なこと。まだ、玄関もトイレもお風呂場もないんです。部屋を建て増しで作っていって、ある段階で「玄関やお風呂場をどこにしよう」とい うやり方で作っているんです。
何が基本になっているかというと、室町時代以来そうなのですが、畳の大きさの天地180センチ、横90センチ。これをレゴみたいに組み合わせてい く。こうしてできあがったものは上から見ると、教会を上から見た時の十字架とはまったく違ったものになる。右と左がごちゃごちゃなんですよ、ところどころ はみでたりして。
つまり、日本の建物の最大の特徴は建て増しだということです。これが外国の人に違和感を与えるんです。整理すると、外国は全体から部分へ行く、日本は部分から全体に行く。これはまったく違う発想なんですよ。
ー ジブリの仕事のやりかた。
本当にトイレや風呂の位置まで考えずに進めていたのかは疑問なのだが、それでも、この建て増しの考え方は自分の制作にかなり当てはまるなと思った。
ほとんど構想を練らずに制作するので。

描く僕と、絵画を考える僕と、価格を考える僕とは明らかに違うヤツだ。
布を張り続けたら軍手をしているのに手の皮がむけた。
