伝達の時間


知人の作家が、その美術の恩師にお茶を飲みながら「展示してもなかなか伝わらないですけれどね・・。」と話したら、「伝わって来ているじゃないか。」と返答されたという。
「伝わって来ているじゃないか。」と言うのはナルホドな言葉で、裏を返せば「即伝わる物では無い」と言う事を含んでいる。
長い時間をかけて制作し、貸し画廊ならば30万円からの費用を負担せねばならない中で、テニスのラリーみたいに伝心するかの様な感覚を期待するが、そういう物ではなく長い制作、発表、評価の中で伝達する物もあるのだろう。

僕自身一つの展示、一点の作品で完結するとは思っていないので、長いスパンで作品を見ることで観えるものもあるであろうし、作家が現役で制作している所が現代美術と言われる作家の強みでもあろうと思う。

美術を観始めた初期の頃観た作家が現在大分違う作品を描いていても、なんとなく飲み込めたり、より昔の作品を理解出来たり。
ある繋がっていない作家同士が仲の良い友人同士だと知った時に、お互いの作品がうまく分かり易い棚に移動したり(頭の中の整理棚みたいな物の事)。