山と平面


夕刻も過ぎ辺りが暗くなると、山々は輪郭を残して遠近感が希薄になる。
もちろんじっと見たり、雲がかかったりすると距離は分かるのだが、一瞬書き割のように平板に見える。
そんな時分に、山に向かって歩いているとき、ふと正面に見えた平板な山の真ん中(上手く言えないが、バランスの取れた場所)に身体を数歩移動させる自分が居る事に気がついた。
もちろん僕の数歩によって景色が変わるはずも無く、また変わらないからこそこの動きに気がついたのだが、僕は正面に見える山をまるで平面作品を見るように呑み込んで、かつ、自分でそれが見え易い所に移動しようと試みた様である。
絵画を観ようとする行為というのはおそらく(確かに)あって、それは無意識と言えども促された行動(反射的な行動)として考慮出来る気がする。
その操作により画面内はもとより、展示空間内についてもある程度行動の規制が出来るかもしれない。
アフォードするって奴かな。